育児短時間勤務制度を導入・運用する際のポ……

育児短時間勤務制度を導入・運用する際のポイント

厚生労働省が発表した平成29年度雇用均等基本調査によると、在職中に出産した女性従業員がいた事業所において、女性の育児休業者の割合は88.5%となっており、昨年より2.6%の増加となりました。育児休業から職場復帰した後については、フルタイム勤務が難しく、短時間勤務を要望する従業員は少なくありません。そこで今回は、育児休業から職場復帰した後の育児短時間勤務制度の導入・運用におけるポイントを確認しておきましょう。

1.育児短時間勤務制度とは
育児・介護休業法には事業主が講ずべき措置として、所定労働時間の短縮措置等が定められています。これにより、3歳に満たない子どもを養育する従業員について、1日の所定労働時間を原則として6時間とする育児短時間勤務制度を導入することが義務付けられています。なお、短時間勤務制度を講じることが困難な従業員については、子どもが3歳に達するまでの育児休業などの制度を導入する措置を講じる必要があります。

2.短時間勤務の時間
短時間勤務制度では、1日の所定労働時間を原則として6時間とすることができるよう求められていますが、会社の所定労働時間が7時間45分の場合、短時間勤務を申し出した後の所定労働時間を5時間45分とすることも認められています。そのため、原則として6時間という表現は、5時間45分から6時間までを許容することを意味します。
また、この短時間勤務の時間帯について、厚生労働省の規定例では午前9時から午後4時まで(うち1時間休憩)の6時間を記載していますが、必ずこの時間帯に設定する必要はなく、また、始業・終業の時間を従業員が選択できるようにすることまでは求められていません。利用する従業員のニーズや職場の状況等を考えて設定することが可能です。

3.両立支援するための他の勤務時間制度
育児・介護休業法での育児短時間勤務制度は原則として6時間とされていますが、従業員によっては、6時間ではなく7時間勤務を希望する者もいるでしょう。企業には、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むことが義務付けられているということですので、これを設けた上で、従業員の働き方の選択肢を増やすものとして、他の勤務時間を選択するようにすることは可能です。例えば、所定労働時間を7時間としたり、月曜日から金曜日までの5日勤務を隔日勤務とし月・水・金曜日の3日勤務とすることで1週間における所定労働時間を短縮したりすることが考えられます。
このように従業員の選択肢を増やすことで、育児のために長時間働くことができない従業員の継続雇用が可能となり、職場の人材確保にも繋がります。

今後、人材確保が難しくなっていく中で、既存の従業員の定着が重要となります。今回は、育児をテーマに取り上げましたが、介護との両立や治療との両立なども重要なテーマとなっています。働き方の選択肢としてどのような制度があると仕事との両立がしやすいのか、従業員のニーズを把握した上で検討してみてはいかがでしょうか。

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